2011年7月27日水曜日

BEMFフィードバックによるPI制御時のパラメーターを求める「ステップ応答によるオートチューニングの実験」

またまたBEMFを使った制御の実験である。前回はPID制御を用いた速度制御で勾配であっても速度を一定に保つ制御を行った。しかし、ここで問題となってくるのは制御のパラメーター決定である。模型のシステム程度であれば、トライ&エラーで求めて行けば、求まらないことはない。しかし、模型の種類も多く、モーターや編成によってその特性は様々だ。

これは適当なパラメーターによるものである。縦軸は制御量、横軸は時間を表す。赤線が目標値であるが、実測値はゆっくりと上昇し、目標値に近づいている。これでは、反応が遅く、外乱(勾配)に対応出来ない。そこで、オートチューニングの出番である。ようするに、実測値がより早く目標値に近づくよう、パラメーターを調整していけば良い。

数回実行すると、このようにグラフが変化する。グラフ自体の数値はあくまでも参考値なので、形だけを見ていただきたい。

ちなみに、パラメーターはノイズの影響を考慮し、一定範囲以内の変更しか出来ない様になっている。本来は一回のチューニングでパラメーターを決定したいのだが、ノイズによる値の変動は急発進などの悪影響を及ぼしかねない。よって、上図の様に数回に渡って、チューニングを行なっている。この場合であれば、10回程度行なえば、最適な値に収束していく。

最終的にはこのように、反応の良い制御が行なわれる様になった。さらにこのチューニングでは模型の動き出しや停止時の電圧も合わせて測定を行なっており、停止中でも室内灯やヘッドライトを点灯させる、常時点灯機能を備えている。出力自体はPWM信号なので、LEDやコンデンサを用いた室内灯、ヘッドライトであれば、停止中でも点灯させることが出来る。合わせて、模型の走り出しもスムーズに動き出してくれる。



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2011年7月22日金曜日

鉄道模型用BEMFによるPIDフィードバック制御の実験(急勾配での走行性能)

さて、引き続きBEMF(モーターの逆起電力)を利用したパワーパックの試作である。前回はPI制御により、勾配の走行を検証してみた。今回はさらにプログラムを精査し、PID制御を取り入れ、またPIDのパラメータについても調整を行なった。

実験では、日本でも指折りの急勾配を登る箱根登山鉄道1000形ベルニナ号を使用する。レールはミニカーブレールを利用し、レールの土台ごと約10度に傾ける。これで、勾配173‰(1000mで173m登る)が再現出来る。とは言うものの、実際の箱根登山鉄道ではそんな急勾配は無いが(・・;)

PID制御の為のパラメータはかなり適当に決定した。特に反応を早めにしたかったので、I係数とD係数についてはかなり高めに設定されているのではないかと思う。ただ、模型の動きとしては許容範囲内に思える。


実験機器
・自作常時点灯機能付きPWMパワーパック(KATO スタンダードS改造)
・BEMFによるPIDフィードバック制御パワーパック
・TOMIX製箱根登山鉄道1000形ベルニナ号
・TOMIX製ミニカーブレール
・電源12V(スイッチングACアダプタを使用)

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2011年7月21日木曜日

BEMFによるフィードバック制御付きパワーパックの試作

さて、鉄道模型のフィードバック制御について考察を続ける。前回の記事ではBEMFの測定を行なったが、今回は制御を取り入れて、実際に模型を動かしてみる。

使用しているのは前回使用した実験ボードで、PチャンネルFETをドライブして、PWM制御にてモーターを駆動。BEMFをローパスフィルタを介してA/D変換にてマイコンで処理。その情報を元にPI制御を行っている。

それでは、実験の様子をご覧頂きたい。実験線路はKATOのV2セットから高架のアプローチ部分を使用し、勾配はかなりきつめの設定である。実験は通常のパワーパック(KATOスタンダードS改造(PWM制御))とBEMF制御の二種類で、上りと下りの時間ををそれぞれ測定する。ストップウォッチは手で操作するが、結果的に数秒の差が出ているので、誤差はご容赦願いたい。


実験結果を下記の通りである。
通常のパワーパックでは上りと下りの時間比率は27%ほどの差があるにも関わらず、BEMFによる制御では5%程度に抑えられる。これは見た目でも明らかな差が分かる。今回はPI制御を用いたが、制御時にある程度模型が振動する。サンプリング周期は10msec毎に行なっているが、これも含めレイアウトや状況に応じた制御方法を確立させる必要があるだろう。

実験機器
・マイコン Atmel AVR mega328P
・PチャンネルFET(トランジスタによるドライブ回路)
・USB-シリアル変換IC(フォトカプラにて絶縁)
・オペンアプ(ローパスフィルタに使用)
・TOMIX社製EF210+Bトレ阪急(牽引負荷として)
・KATO社製V2セット(勾配線路として、アプローチ部分を使用)

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2011年7月20日水曜日

鉄道模型におけるBEMFの測定(マイコンを使用したシステム)

さて、前回に引き続き、鉄道模型におけるBEMFについて考察を続ける。今回は基板を製作し、実際にBEMFの測定を行なってみた。
処理の中枢はAtmel AVR MEGA328Pでトランジスタによるゲートドライブ回路を形成し、PチャンネルFETを駆動させている。またPCとの通信用にシリアル-USB変換ICを使用し、絶縁の為にフォトカプラを使用している。フォトカプラの選定、周辺回路の設計にミスにより通信速度は4800bpsと遅めである。

実際にデータを収集し、解析を行なう。注目していただきたいのは、○で囲った部分である。この部分はレールが勾配(坂道)になっている部分で、模型はその重量によって速度が落ちる。よってBEMFの電圧が下がっている部分である。

今回の結果より、BEMFが鉄道模型のモーター制御において利用可能であるということがより理解出来た訳であるが、その他の問題も多く出てきた。上記のグラフを見ても分かる様に、ノイズが非常に多い。マイコン上で平均化処理を行なっていても、値の変動は激しい。

鉄道模型におけるBEMFフィードバックについて
利点
①低速走行や坂道での一定速度走行が実現出来る。
②BEMFをそのまま車速として換算出来るので、実際の模型の速度基準で走行出来る。

欠点
①レールとモーターの接点が不良または不安定なので、ノイズが発生し易い。
②BEMF計測や処理に一定の時間がかかる。またヘッドライトや室内灯のちらつきの原因となる。

今後は実際にフィードバック制御を行い。その実用性を検証してみたい。

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2011年7月17日日曜日

鉄道模型におけるDCモーターのBEMF(逆起電力)について

さて、唐突だが私の制作しているパワーパック、コントローラの中枢はマイコンである。マイコンにより、PWM制御の周波数やDUTY比を走行中に変更することにより、駆動音の発生や実車の様な滑らかな駆動を実現している。ただ、マイコンを使用しているのはあくまでもPWM発生のモジュールを使用しているだけであって、マイコンの性能的にはもったいない使い方かもしれない。そこで、今回からフィードバック制御について考察してみたい。先ずはDCモーターのBEMF(逆起電力)の話からである。
逆起電力については他のサイトに説明をお任せするとして、ここでは鉄道模型を中心に考えてみる。上図で少し見にくいが下の波形(黄色)はレールへの供給電圧を示している。数kHzの周波数なので、帯状に見えるが、実際にはON/OFFが高速で変化するPWM制御である。ただ、そこで、一定時間、波形が一定の部分がある。実はここで、レールへの電力供給を止め、逆起電力を計測している部分なのである。ちなみに、上部の赤い波形はローパスフィルタを介して、逆起電力を表したものである。

これはDUTY比(ONとOFFの時間比率)が40%の時のBEMFであるが、次の50%のものと比べていただきたい。

注目すべきは波形の最大高さである。この部分はモーターへの電力供給が停止しているので、モーターは慣性により回っている。つまり発電機となっている部分なので、よりモーターが高速に回転している場合には発電量が増え、この波形の最大高さが変化する。測定した回路上ではBEMFの発生により、波形の高さは下がる様になっている(測定回路の仕様による)。

これはDUTY比60%の時

これはDUTY比70%の時

以上の様に、DUTY比の変化、ついては模型の速度に応じてBEMFの変化が現れることが分かった。今後は計測回路の設計、フィードバック制御アルゴリズムの検討、実際に模型への応用などを考察して行きたい。

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2011年7月13日水曜日

駆動音再現機能&効果音発生機能付きPWMパワーパックの試作品(ver3.01)の紹介

さて、以前に紹介した鉄道模型用効果音発生装置を応用し、またBLタイプをベースにしたパワーパックを試作してみた。
特徴はモーターから駆動音を発生させる機構はもとより、外部スピーカーから駆動音や効果音(警笛、発車ベル)を出力できることである。その他の機能としてはBLタイプに準じている。
対応しているスピーカーはアンプ内蔵型のステレオタイプで、ヘッドフォンやスピーカーを直付けすることは出来ない。

スピーカーの接続は3.5mmのステレオミニジャックなので、大抵のスピーカーシステムに接続可能だ。


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2011年7月7日木曜日

鉄道模型用二針(双針)ブレーキ圧力計の動作試験

やはり電車の運転台と言えば速度計や圧力計などの計器の動きも重要であろう。走行中の重要な情報が集約されていて、動かしているという実感が湧く。さて今回は電車のブレーキ圧力計の再現である。以前にもメーター駆動は様々な実験を行ってきたが、今回のはひと味違う。
協和電気計器株式会社より2針型パネルメーターを購入した。電車のパネルメーターであれば、広角度の丸形メーターが主流だと思うが、コストの問題もあるので、今回は写真の様なメーターである。特徴としてはやはり黒針と赤針の2針タイプということであろう。調べてみたところ、電気指令式ブレーキの場合には
黒針:シリンダ圧力(直接の制動力)
赤針:元空気溜め(空気のタンク圧力)
である。自動空気ブレーキや古い車両になると
黒針:ブレーキ管圧力
赤針:シリンダ圧力
の様な気がする。どちらがどちらで、またどのような働きなのかは今後しっかりと調べて行きたいと思う。

それはさておき、実際の動作の様子である。
今後、針の動きや挙動については修正をして行きたい。

2011年7月5日火曜日

本格的運転台の製作に向けて「模型用ATCの実装」(圧力計駆動修正、ATC動作修正)

引き続き、ご依頼を頂いている本格的運転台の調整である。以前に紹介した物から追加で、駆動音再現用のスピーカー(音量調節機能付き)、ATC動作システムの修正を行った。

まず、ブレーキ圧力計の針の動きを滑らかにする処理を行なった。以前に実験した制御を用いている。制御時の定数を変更することで、動きを俊敏にしたり緩やかにすることが出来る。またATCシステムの調整を行ない。ATC常用ブレーキの動作を修正した。


使用機器
・AVR MEGA644Pを使用した制御システム(ハンドル部の信号解析、メーター駆動)
・ポニーキャニオン製Master Controller for Train Simulator:ワンハンドルマスコン
・速度計(ATC速度現示0〜120km/h、停止、非常停止、進行表示)
・ブレーキ圧力計
・ATC現示ベル
・ノッチ表示器(非常、常用8段、ゆるめ、加速5段)
・モーター出力回路(PWM制御、出力段MOS FET)
・スピーカー(駆動音再現用)

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